タンゴ・冬の終わりに 2006.11.9

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なんとか、チケットの都合がついたので行ってきましたぁ~。
最近の蜷川さんは翻訳ものが多かったので、この手の久しぶりなんじゃないでしょうか。
この時代のニオイはご自身が生きてこられたものなので、独特の世界感がありますね。
清水さんはこの辺がご出身だと聞きました。

タンゴ・冬の終わりに


作:清水邦夫    演出:蜷川幸雄  
出演:堤真一 常盤貴子 秋山菜津子 毬谷友子 高橋洋 月川悠貴 岡田正 塚本幸男 
     新橋耐子 沢竜二 品川徹 段田安則シアターコクーン 11月9日(木)19:00~ 座席J-4 
物語:
日本海に面した町の古びた映画館。清村盛は有名な俳優だったが、3年前に突然引退して、妻ぎんとともに生まれ故郷の弟が経営する映画館でひっそりと暮らしている。そこへ、昔の俳優仲間であった名和水尾と彼女の夫、連がやってくる。かつて盛と水尾は激しい恋に燃えていた。訪れた水尾が見たのは、すっかり狂気にとりつかれてしまった男の姿だった…。

「将門」に続く、清水邦男×蜷川幸雄コンビ。
男性陣も引き続き、堤×段田×高橋の同じメンバー。沢さんも出ていらっしゃったし。
清水作品は当分このメンバーでいくのかな?

最初のシーンはビックリしましたぁ。というか、あの音量に。
チラシ見ながらおしゃべりに夢中になっていたので・・・きゃっ、って言っちゃった_(^^;)ゞ
あれだけの人数がステージにいると、迫力あるなぁ。今回、ちゃんと幕を下ろしてあったのも効果ありました。恐らく、浮世の世界から一瞬にして芝居の世界へと引き込むのを狙っているとは思います。
賛否はあると思うけど、ある意味蜷川さんの演出の最初の3分は絶対見逃せませんね。
あと、個人的な好みだけど開演前はステージに幕が下ろしてあるほうが、好きです。一気に、その世界に飛び込めるような気がして。
基本的に見る前に、人の感想避けて色々入れていかないので、セットも開演前は見せないで欲しいなってのが希望です。

昭和の匂いいっぱいの、閉館寸前の映画館。
そこに、現れる盛の妻の秋山さんが常に冷静で強く夫を愛する妻を演じていてカッコイイ。
過去・現在、狂気と正気が交差する舞台で唯一凛としていて、彼女の存在でストーリーがぶれないような感じをうけました。
合い言葉「ほっ」、妻の自分を忘れて死んだ姉だと思われていても、彼女のプライドを保ててたものだと思うんだけど、それが通じなくなってしまったときに、彼女の悲しさが痛いほどわかったような気がします。
盛の狂気をやさしく包む妻と真っ向からぶつかり否定する若い水尾。2人の対比も印象的です。
しかし、やはり妻は強しと感じました。

今回は堤さんの演技につきますね~。
名役者だった男が、突然引退して田舎に引きこもっている。
カムバックへのオファーも途絶え、過去の思い出に取り付かれ、狂気の世界へと逃げ込んで行く。
三島やシェイクスピアの台詞を引用し、それがあたかも自分の言葉になったような錯覚に陥って行き、清村盛としての自分がわからなくなってしまう。
名役者が役に生きすぎたための結果なんでしょうかねぇ。

わたしも、堤さんはまだちょっとこの役には若いかなという印象だったので
(30年前に飛び出して、水尾との時もすでに40才超えてたっていうから)
同じメンバーで再演も期待できるのではないでしょうか。
そしたら、もっと老いぼれ感が出てていいと思うんだよね。
見た目も立ち振舞いもまだ若くてキレイすぎたなぁって、感じました。
そうしたら、子供に戻った時の純粋な演技がもっと引き立ったような気がします。

常盤さんはどうかなって思っていたけど、まだ2度目の舞台だから仕方ないかなぁ。
まわりが、舞台の役者さんばっかりだったし。
タンゴのシーンは、前半は水尾がリードしているように踊れればなぁって見ていました。
前半最後の見せ場だったから。

毎回ですが、蜷川さんの舞台美術、照明の美しさには感動します。
最後のシーンは、見とれるようにキレイでした。
わっ、わぁ~~、わっ、あ、お~、きれ~い。って、全部擬音じゃん!
ボキャなさすぎ。すいません。
映画館というのも、あたりまえだけど映画って暗いところで見るので、当然窓もなくて密閉した空間なので、盛の持つ暗闇みたいなものの、狂気の世界に逃げ込んで暗いところで生きていることを象徴していましたね。水尾の衣装が全部真っ白なもの、視覚的にきれいだなぁって思いました。

孔雀とか品川さんが演じられた男とか一回見ただけじゃ、私には難解な部分があったのでWOWOWで復習しまーす。_(^^;)ゞ
作品の作られた時代の持つテーマなんかもあるんだろうな。
それを、初演から20年以上も経って再演し、現在の私たちにどう伝えるかとか。
やっぱ、パンフ買えばよかったかなぁ。

清水作品、同じ狂気を演じた「将門」とどうしても比べて見てしまいますが、
セット今回もなにげに階段いっぱいでしたね。
私はこっちのほうが好みかな。

一緒に「将門」を見た会社のおばちゃまと今回も一緒に観劇しました。
「将門」はタイトルロールだったけど、主役は段田さんという感じだったので、今回は堤さんの演技にご満足のご様子でした。

最後にちっと注文。
盛が水尾の首を絞めるシーン。あんな短時間じゃ人間死にません。その後一瞬正気に戻るんだから、もうちょっと間がほしかったなぁ。
もうちょっと緩急が欲しかった。

・将門ではかなりかっこよかった段田さんが今回は全然違うキャラで。一緒に行ったおばちゃまがうけまくっていました。バナナを洋さんに渡すときに飛んじゃって、洋さんマジに受けてました。
・鞠谷さんだって、最後の最後で気がついた。(まだ出て来てないなぁって思ってたんだよね)
別に彼女じゃなくても良かったかも・・・
そういえば「天保~」も洋×毬谷のカップルだったわ。
・洋さんの一人ライムライト、西部劇は面白かった。
・品川さん(私のなかでは白い巨搭の大河内先生)はやっぱり怖そう。暗闇で出てくると迫力あるなぁ