グリング第13回公演 10th Anniversary「虹」 2006.12.20

イメージ 1

グリング第13回公演 10th Anniversary「虹」

【作・演出】青木豪
【出演】杉山文雄 萩原利映 鈴木歩中野英樹 藤本喜久子(無名塾高橋理恵子演劇集団 円) 泉陽二 鬼頭典子(文学座) 星耕介(Oi-SCALE) 東憲司(劇団桟敷童子) 井出みな子(演劇集団 円) 
@紀伊国屋ホール 19:00~ 座席E-1
【あらすじ】
信濃あたりの小さな町のカトリックの教会。クリスマスを前に飾りつけなどの準備に追われている。
司祭と司祭の母・妹夫婦のが近くに同居している。母は娘夫婦に子供が出来るのを心待ちにしており、なかなか子供を作らない婿の広志にチクチク厭味を言って暮らしている。なので、姑と婿の関係は微妙だ。
教会に出入りするのは、農産物の卸業をしている梶原夫婦。保険会社に勤める森。森の先輩で契約が取れずクビ寸前の保険員。
火事で焼けた裏風俗の店にHIV感染者がいたことが話題になり、そこに結婚前に出入りしたことのある広志は、自分も感染したのではないかと不安になっていた。

あるとき教会近くに住む、パニック症候群の柿本が霊が見えると司祭に相談に来る。彼女に見える霊は以前事故で死んだ、一番上の兄の霊だった。実は、彼も妻も母親との同居から離婚に至っており、その後事故で死んでいる。遺族は本当は自殺ではないかという重荷を背負っていた。彼は母に伝えたいことがあり、彼女のを使って思いを伝える。自分が死んだのも父が死んだのも母の責任ではないので、安心して欲しい。妹夫婦をそっとしておいて欲しいと。

一方、梶原は浮気相手に子供が出来たため、妻に離婚を切り出す。彼らも当初子供を欲しがっていたが、今はあきらめていた。その後、梶原の乗った自動車がブレーキの下に空き缶をおかれるという最近近所で多発しているいたずらのために事故に会う。森はその犯人が妻ではないかと疑っていた。久しぶりに姿を表した妻は、離婚して片付いたらすべて話すと行って帰る。

広志はHIVに感染していた。発症前で前向きに治療するように諭す妻。死の恐怖に耐えられなく弱音を吐く広志。これからの方が長い、自分が先に死ぬかもしれない。やさしい妻の言葉に元気を取りどすところに雨が上がり虹が出た。
広志夫婦・母との関係を兄の死、病気などを絡めて描いています。
親との関係、HIVや兄の死、子供のことなど、重くなりがちな話題を持ち出してはいますが、そんなに重苦しい感じではありません。病気や霊を出すなんて、反則と思うこともありますけど、強引な感じは受けずわりとすんなり受け止められます。

対照的な夫婦2組が描かれていていますが、やはりネックは「子供」
やっぱ、子供いないとダメなんですかね~?
個人的な思いもあるんだけど、実はあまり好きなテーマではありません。
しかし、今回はなんだかあったかい気分になれました。

なんといっても萩原さん演じる聖美がとても明るく前向きで、励まされます。広志はわりとだめなところや弱いところをさらけ出すんだけど、それをきちんと正面から受け止めて、やさしくつつんであげられています。こういう元気を与えられる人間になりたいものです。
反対に梶原夫妻はリアルです。今回は語られないところがいっぱいあるんだけど、梶原は事故で足が不自由になってしまったらしいです。どうなるんだろう、これから。反対に明るい未来は予想できませんね。
森には子供がいて、親バカぶりを披露したりもするので、なおさら2組の夫婦の違った悲しさが引き立つのかなぁ。

実は、前半から涙腺緩みめ。こりゃ泣くなという予感をしつつ、やはり最後の方はぽろぽろ泣いてしまいました。
いいお話だったので、お時間ある方は是非観てみてください!

トイレで片桐はいりさんに遭遇。初日だったこともあり、関係者の方も多そうな雰囲気でした。